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イスタンブルの大バザール内の、しっかりした造りのビーズ専門店で購入した連に編まれていました。古いビーズの供給地のアフガニスタンや中央アジアから入手したと説明されました。イスラム期の代表的なアラベスク・ビーズで、修復された丸玉と、胎の一部が欠けていますが、欠けたがゆえにアラベスク紋作成の事情が判明するビーズの2つです。\r　幾何学紋様を左右などに対称的広げるビーズは、モザイク・ミラー（鏡）ビーズと呼ばれ、イスラム諸国家で11～12Cに大いに用いられました。施された左右対称の紋様は、生に関わる護符の強い力をもつと見なされてきました。本品も11-12Cのビーズと想定されます。\r　修復された丸玉で艶の無い黒と白のビーズ部分では、典型的な折込玉モチーフといえる、孔の大きな穿孔面から4本の細い線が下に伸びて下部で繋がり、まず下向きに垂れた紋様が見られます。その右隣には、逆向きで上に伸びる線紋が、短い黒部分を中心に、4本の白と黒の線で施されています。ただし、上に伸びる紋様は半分しか残らず、その右側には茶白の縦帯が接合のために施され、右に施されたモチーフに続きます（順位、科から10枚め）。\r　その右側からは艶のある胎に黒と白の6本線で、下部では横に広がる左右対称の押しつぶされた縞模様があり、そこから上に一度絞られて再度、細長い縞模様が広がっています（順に9-14枚め）。その右に、上向き細長の縞模様の片側を生かして左右対称の線紋が施され、上向きに細長の縞紋が連続し再現されます。\r　2つの類似線紋ビーズを、ビーズ職人は接合し、1つのアラベスク紋ビーズと見えるように制作しました。\r　2つ目の、欠けたアラベスク・ビーズは、折込ビーズ典型といえる、黒の胎に太めの白い帯を置いたモザイク板を一度折り込み、左右対称の下に丸く垂れた紋様を作り、次に、芯軸の周りに再度折り込むか、適度に摘まみ丸く上に伸びる紋様を描き出します。黒い胎に細い白帯を薄く乗せていることと、通常は見ることが困難な、芯内部にも胎表面と同じ紋様が存在し、多数の巻き線跡も判明します（11，14枚め）。\r　本品、修復玉と欠けた丸玉は、黒の胎に白の幾何学対称モチーフの制作過程と、再利用を含めた職人技を語たってくれ、完品ビーズを見るときの基準となってくれそうです。\rサイズ丸玉：高さ　約10㍉、幅　約12㍉　孔径　約4㍉

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